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音楽は、精神の火を [ギター]

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谷辺昌央ギターリサイタルが今年も名古屋と東京とで開催されます。これまで谷辺の演奏を聴いて来られたファンの方から谷辺の音楽と演奏の魅力について文章を寄せて頂きました。

谷辺昌央ギターリサイタル「森の中で」によせて

「音楽は、精神の火を――鍵盤上の火花だけでなく――発しなければばらない」
「ヴィルトゥオーゾと解釈者(演奏家)を慎重に区別すること。前者の成功は、完璧に――時にはセンセーショナルに――楽器の模範演奏をすることにある。後者の野心は、説得力のある方法で自分の想像力に託された作品の思想を実現することにある」優れたピアニストであり、指揮者、教育者でもあったアルフレッド・コルトーの言葉だ。

 谷辺の演奏を前にするとき、ふとこうした言葉のささやきを感じることがある。それは例えば、われわれがファン・ゴッホの作品を前にしたときに味わう感動に似たものかもしれない。「自然はたしかに美しい。しかし、われわれ人間の目を通してみると、もっと生き生きとした体験として感じられてくる」と。絵画を喩えにしてみるとこんな風に言えるだろうか。

 さて、音楽とはもちろんリズムあってのものである。リズムとは言うまでもなく規則的な繰り返しのことだ。メトロノームはわれわれが設定した通りに、1分間に40拍でも250拍でも正確無比に(完璧に模範的に!)ビートを刻むことができる。ただ、そこに刻まれる時の流れにただ従う音楽に解釈はあるのだろうか。あるいはコルトーの言葉でいえば「精神の火」はあるのだろうか。

 われわれの鼓動がメトロノームのような機械的なものではなく、一拍一拍ごとに命をもつように、音楽を支えるリズムのひとつひとつに意味や思いがあるとしたら…そんな探求心から、谷辺はリズムに解釈を与え、そこに命(パルス=脈動)を吹き込むメソッドを編み出した。ゴッホが筆をもって自然に新たな命を吹き込んだように。それは彼の敬愛する師、ロベルト・アウセルの探求の継承でもあった。

 音楽という時間芸術の、その根本である「時間の流れ」に命を吹き込むことで、谷辺の紡ぐ一音一音は輝きを増し、メロディーはより歌心をもって響きだす。それはいわば楽譜上の音楽の再現ではなく――コルトーの言葉を借りれば――聴衆への共感を問う「作品の思想の実現」という営為である。その命を込められた「説得」に、終演後には聴衆は「魂をもったなにか」に触れた経験をし、「精神の火」にあてられることになるのだ。これは彼にとってみれば当然のことだったのかもしれない。

 ユパンキをはじめとする南米音楽(師アウセルのルーツでもある)への巡礼の旅が一段落したのちに、谷辺が向かったのは、まだ未開拓といっていい武満徹、林光、細川俊夫ら邦人作曲家によるギター協奏曲群であった。彼が今回乗り込む帆船の針路は、バロックと武満の森。どんな歌が彼のギターから奏でられるのか、彼の演奏がどんな「精神の火」を放つのか、われわれにどんなパルスの共振を起こすのか、楽しみである。(40代 会社員 男性)
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2017CONCERT 好評発売中!
谷辺昌央ギターリサイタル「森の中で」
Program (全曲、演奏順)

S.L.ヴァイス ソナタ 第5番 (ドレスデン手稿譜による)
プレリュード/アルマンド/クーラント/ブーレー/メヌエットⅠ/サラバンド/メヌエット Ⅱ/ジーグ

武満徹
ラスト・ワルツ (リート&メイソン)

『ギターのための12の歌』より
サマー・タイム
ロンドンデリー・エアー

D.スカルラッティ 2つのソナタ K.213 K.239

休憩

武満徹 『森の中で』〜ギターのための3つの小品
1. ウェインスコット・ポンド 〜コーネリア・フォスの絵画から〜
2. ローズデール
3. ミュアー・ウッズ

武満徹 『ギターのための12の歌』より
シークレット・ラブ
オーバー・ザ・レインボー

M.ジュリアーニ ロッシニアーナ 第1番 Op.119

■2017年2月25日(土)名古屋・宗次ホール18:00開演(終了)
■2017年3月10日(金)東京オペラシティ近江楽堂 19:00開演
イープラス http://eplus.jp/sys/T1U14P002212991P0050001
CD情報
MDG-JapaneseGuitarConcertos.jpg
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■CD『アセントゥアード』推薦の言葉より
「音楽の頂点にある真理を掴む数少ない音楽家」
「音が凝縮して、指先からほとばしるように、歌があふれ出してくる。それは彼が持って生まれた大いなる才能だ。」(鎌田慶昭)
■CD『日本人作曲家によるギター協奏曲集』推薦の言葉より
「谷辺昌央は、これまでに数点のCD録音、日本国内各地にわたる演奏活動から、よく認識されているように、その技術の精確さ、表現能力の高さから、明らかに世界的水準に立つギタリストである。彼なればこそ実現しえた素晴らしい企画に、心からの讃意と敬意、祝福を贈りたい。(濱田滋郎)
■CD『日本人作曲家によるギター協奏曲集』に関する記事より
(レコード芸術2015年8月号より)
谷辺昌央(g)による日本人作曲家のギター協奏曲集が登場
◎多彩な引き出しを持つギター奏者 谷辺昌央
◎高い技巧で抽出される作品の核心部
---妥協のない選曲とその意欲にみあう技巧の高さ。若手でありながら、じつに多くの引き出しを持つ面白い才能だ。(白石深雪)
Profile
谷辺昌央(たにべ・まさお)ギター
1974年名古屋に生まれ、7歳から音楽家の父のもとでギターを始める。東京大学卒業後渡欧、ケルン音楽大学にてR.アウセルに師事、首席卒業。古楽をK.ユングヘーネル、現代音楽をP.アルヴァレス、音楽現象学をH.リウの下で学ぶ。カールスルーエ音楽大学にてA.フォン・ヴァンゲンハイムに師事。これまでに東京国際ギターコンクール最高位受賞。ジョアン・ファレッタ国際ギターコンチェルト・コンクール第2位及び聴衆賞、ノルバ・カエサリーナ国際ギターコンクール第1位など多数の国際コンクールで第1位及び入賞。2005年ワシントンDCのケネディーセンターにてアメリカ・デビュー。2006年ニューヨーク州バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団との共演は大成功を収め、全米およびEU全域でラジオ中継された。ドイツのバーデンバーデン・フィルハーモニー、ボッフム交響楽団やセントラル愛知交響楽団、スペイン、ブラジルなどのオーケストラと多数共演。アルゼンチンの“世界のギター”をはじめ世界各地のフェスティヴァルに招かれ演奏、いずれも最大級の賞賛を持って迎えられる。2008年の南米ツアーでは、ブラジル日系移民100周年記念事業の一環として、林光のギター協奏曲「北の帆船」を南米初演。CDにおいては2010年「アセントゥアード」、2013年「すべての人のための祈り/ラテン・フォルクローレの煌めき」をいずれもコジマ録音ALM RECORDSよりリリース、高い評価を得た。同年、名古屋音楽ペンクラブ賞受賞。2011年より日本に拠点を置き、国内外で活発に演奏及び指導活動を行っている。2015年「日本人作曲家によるギター協奏曲集〜武満徹、林光、細川俊夫」をドイツ、MDGレーベルより世界へリリース。同年、名古屋市文化振興事業団第31回芸術創造賞受賞。

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